深夜1時35分頃の金属音。銃声、そしてパトカーの音が鳴り響き、厭な音だなあと思いながら他人事と押し通そうとするのに雑音は次第にお前の断末魔として鼓膜を揺さぶってくるのだから因果だ。捕らえようとしていた腕をかわしては追い詰められ叩き落とし、最後に立っていたのは僕だったのだから、あらゆる呪詛もあらゆる怨嗟も勝者として耳に心地よく思うよ。11月15日。シーツの上のお前は余りに白く、生前、内側からすでに腐敗の足音をたてているように白く横たわっていたのを思い出しては少し笑う。生も死もお前の肉体には関連が無いように思えてうかうかと欲情しそうになったのは僕の浅ましさだ。薄い唇にキスするに留めて君を灰にした。頬を体液が流れていたのならそれは喜びのためだったと認めてくれないか。悲しみでも喪失感でもなく。僕は神様になるんだよ。舐めあわないままでも傷は癒える。アイシテル、とはお前以外に絶対に誓わないと決めている。
「勝者」